「年金制度もいつまで続くか分からないし、やっぱり自分で資産運用することも考えないとダメなのかな……」
「とはいえ、投資って難しそうで何から始めたらいいのか分からない……」
こんなお悩みありませんか?
そんなあなたにまず挑戦してほしいのが、つみたてNISAです。
今回は、自分の将来や家庭の未来を考えている方に向けて、つみたて NISA の概要やメリット、始め方についてわかりやすく説明します。
つみたてNISA を利用すると、最大20年間にわたり非課税で投資が可能であり、将来的な利益を最大化できます。
無駄な税金を支払い、損をしないために、ぜひこの記事を参考につみたてNISAを始めてみてください。
目次
つみたてNISAとは、積立投資専用の非課税制度
つみたてNISA とは、積立投資(決まったタイミングで銀行口座から引き落とされ、定期的に購入される投資方法)をする際に利用できる「少額投資非課税制度」です。
最大の特徴は、税金がかからないことです。通常投資で得た利益は、20.315%の税金がかかりますが、つみたて NISA では非課税での投資が可能です。税金を節約しつつ将来の資産を蓄えられる制度と言えるでしょう。
つみたてNISAの仕組み
つみたてNISAを利用すると、年間40万円を上限とした一定の投資信託(多くの投資家から得たお金を専門家が運用して、得た利益を配る金融商品)を購入できます。ここで購入した投資信託で得た利益は、購入した年から20年間課税されません。
例えば、通常投資で得た利益が100万円の場合、20.315%(投資で得た利益にかかる税率)の税率がかかり、203,150円を税金として支払う義務が発生します。ところが、つみたてNISA を利用すると、非課税であるため税金を払う必要がないのです。
ただしつみたて NISA の注意点として、以下の点が挙げられます。
- 積立投資のみ対象
- 非課税金額は、年間40万円
- 非課税対象は、積立口座を通してのみの金融商品
- 非課税期間は最大20年
つみたてNISA の仕組みとして、積立投資のみ非課税対象です。つみたて NISA における積立投資商品は、金融庁が定める、一定条件を満たした投資商品のみとされています。
また、つみたて NISA の年間投資上限額は40万円です。40万円までしか投資できないため、高額投資をして利益を得たい方には不向きといえるでしょう。
さらに、非課税対象となるのは、つみたて NISA 口座を通してのみの金融商品です。そのほかの口座で投資しても、非課税とならないので注意しましょう。
そして、非課税期間は最大20年であり、投資できる金額は最大800万円です。
このように、つみたてNISAでは年間の投資上限額や非課税期間における条件があるため、自身のスタイルに合った投資方法か見極めて利用してください。
話題になっている理由
つみたてNISA が話題になっている理由は、非課税枠が拡大したことにあります。今までは、投資の利益に20.315%の税金が課せられていました。しかし、経済が不安定な中で、税金がかからず投資で得た利益を最大化できる、つみたてNISA の需要が高まったのです。
また、政府により、投資が進められた点も理由の1つでしょう。年金2000万円問題や人口減少により、会社や国に依存しないで資産形成する必要があります。
以上の理由から、つみたてNISAが話題になったのです。
つみたて NISA はこんな方におすすめ
つみたて NISA は以下の方におすすめです。
- 50代以下で資産を作りたい方
- 現在資産を使う予定がない方
- 長期的な資産運用をしたい方
50代以下で老後のために資産を作りたい方は、つみたて NISA をおすすめします。なぜなら、つみたてNISA は、資産を築くまでに時間がかかるためです。時間がかかる理由は、年間の非課税枠が40万円とされているためです。少額での投資となるため、資産が増えるために10年や20年といった期間がかかります。そのため、できるだけ早いうちから、老後のための資産運用が求められます。
資産の利用予定がない方も、つみたて NISAの利用がおすすめです。現在、銀行にお金を預けても、利息はほとんどつきません。しかし、つみたてNISAで安定した長期投資を始めることにより、年利(投資した元本からどのくらいのリターンがあるのか指し示すもの)3%から7%ほどの投資が可能でしょう。注意点として、経済状況によっては資産が増えない、もしくは、元本割れする可能性もあります。
そして、長期的な資産運用をしたい方にもつみたてNISAはおすすめです。デイトレードといった短期の集中投資では、大きく稼げる可能性がありますが、全財産を失うリスクもあります。複利(投資の利子にも利子がつく)効果により、毎回受け取る利子の金額が増えていきます。そのため、20年後に大きな資産となる可能性が高いでしょう。
つみたてNISAの運用シミレーション
つみたて NISA を実際に運用すると、どのように資産は増えていくのでしょうか。今回は、金融庁の資産運用シミュレーションを参考にして解説します。
上記の表では、毎月3万円投資しています。さらに、投資の運用において現実的といわれている年利5%を想定しており、積立期間は10年です。それにより、最終的な積立金額は698万7071円です。3万円積み立てると、元本は600万円になります。そのため、98万7千円増える計算となるでしょう。
もちろん元本割れの可能性もありますが、保有期間が長くなるにつれてリスクが低くなる傾向にあります。金融庁が平成29年6月に公開した「つみたて NISA について」によると、20年投資信託を保有すると、元本割れはほとんどないとされています。そのため、できるだけ保有期間を短くすることでリスクを抑えつつ、安定した資産運用が可能でしょう。
つみたて NISA のメリット
積立 NISA のメリットは、以下の通りです。
- 運用益が非課税
- 金融庁が長期投資に相応しいと判断した銘柄を購入できる
- 引き出しや解約が自由
つみたてNISA の最大のメリットは、運用益が非課税である点です。積立を開始してから20年間は非課税となるため、税金により利益が減らず、資産形成に役立ちます。注意点として、20年を過ぎた場合には税金がかかるため、ほかの口座に移行するか、引き出すことが求められます。
金融庁が長期投資にふさわしいと判断した銘柄を購入できる点もメリットでしょう。積立 NISA は、長期投資を前提としているため銘柄選びに失敗しづらいといえます。
そして途中での引き出しや解約も可能です。iDeCoであれば60歳までは引き出せないといった制約がありますが、つみたてNISA は自分の好きな段階で解約できます。緊急事態により、現金が必要になった際にも役立つでしょう。
つみたて NISA の注意点
つみたて NISA の注意点は以下の2点です。
- 非課税枠を翌年に持ち越せない
- 投資商品が少ない
注意点として、年間40万円である非課税枠を使いきれなかった際に、翌年に持ち越せない点が挙げられるでしょう。例えば、投資金額が15万円余ったため、翌年に55万円の投資をしても、非課税の対象とはならないのです。
さらに、金融商品が少ない点も挙げられます。つみたて NISA は、現在188本の金融商品のみ選べます。2021年時点で、日本の投資信託は約5,923本あるとされているため、つみたてNISAの投資信託本数は少ないといえるでしょう。数少ない中から選択する必要があるのです。
ほかの非課税制度との違い
つみたてNISAとそのほかの非課税制度との違いは、どのようなものなのでしょうか。ここでは一般NISAとiDeCoとの違いを説明します。
一般 NISA との違い
一般NISAとの違いは以下の4点です。
一般NISA | つみたてNISA | |
①年間最大投資額 | 120万円 | 40万円 |
②非課税期間 | 5年間 | 20年間 |
③投資対象商品 | 個別株式と投資信託、ETF | 投資信託とETF |
④投資方法 | 一括投資、積立投資可能 | 積立投資のみ可能 |
1点目は年間最大投資額が異なる点です。一般 NISA は年間120万円が上限額なのに対し、つみたて NISA は40万円です。
2点目は、非課税期間に違いがあります。一般 NISA は5年なのに対しつみたて NISA は20年です。
3点目は、投資対象商品に違いがあります。一般 NISA は個別株式や投資信託 やETF(金融商品取引所に上場している投資信託)などさまざまな投資商品が選べるのに対し、つみたて NISA は投資信託と ETF のみ選択可能です。
4点目は、投資方法です。一般 NISA は積立投資と一括投資の両方を選べるのに対し、つみたて NISA は積立投資のみ選択できます。
上記の違いがありますが、短期間で大きな利益を狙いたい方は一般 NISA がおすすめです。年間の非課税金額が大きく投資方法も選べます。
そして、投資初心者におすすめなのはつみたて NISA です。理由は、少額での積立ができ、金融庁が選んだ投資信託を購入できるためです。長期的な資産運用にも向いているため、投資初心者でもゆっくりと資産を増やせる可能性が高いでしょう。
iDeCo との違い
つみたて NISA と iDeCoとの違いは以下の通りです。
iDeCo | つみたてNISA | |
①投資目的 | 将来の年金のため | 自由 |
②対象者 | 20歳以上65歳未満 | 満18歳以上 |
③引き出し制限 | 60歳以上 | いつでも可能 |
④最小積立金額 | 5000円から可能 | 100円から可能 |
1点目は、iDeCoは将来の年金のために積み立てるのに対し、積立 NISA の目的は自由である点です。
2点目は、iDeCoの対象者は、20歳以上65歳未満の国民年金保険者であるのに対し、つみたて NISA は満18歳以上の国内移住者とされています。iDeCoは、将来の年金確保のために設けられた制度であるため、年齢制限があるのです。
3点目は、iDeCoはお金を引き出せるタイミングが60歳以上なのに対し、つみたて NISA はいつでも受け取りが可能な点です。
4点目は、iDeCoは毎月5000円から積立可能ですが、つみたて NISA は100円から投資できることです。
このようにiDeCoとつみたて NISA には違いがありますが、老後の資産を築きたい方はiDeCoがおすすめです。
そして、つみたて NISA がおすすめなのは、iDeCoよりも少額から投資を始めたい方や、老後ではなく10年後や20年後の資産形成をしたい方です。
つみたて NISA の始め方
つみたてNISA の始め方として、4つの手順で行いましょう。
- 金融機関での口座開設
- マイナンバーカードの提出、調査
- 積立投資する銘柄を選ぶ
- 投資金額を選び開始する
以下で解説します。
金融機関での口座開設
まずは、つみたて NISA の取り扱いがある金融機関で、口座開設しましょう。具体的な金融機関は、銀行や証券会社、ネット証券です。
銀行や証券会社の窓口では、対面によるサポートが受けられるメリットがあります。しかし以下の理由により、口座開設はネット証券をおすすめします。
- 少額投資が可能
- クレジットカードからの積立で、ポイントが貯まる
- 取扱金融商品が多い
おすすめのネット証券は、楽天証券とSBI 証券です。取扱投資信託が多いためおすすめします。例えば、松井証券における投資信託の取り扱い本数では、1648本なのに対し、楽天証券では 2635本、SBI証券では2695本です。今後、他の投資方法を行う場合にも、投資信託の数が多いと、選べる範囲が拡大します。
マイナンバーの提出、調査
口座開設する金融機関が決定したら、本人確認書類とマイナンバーカードを提出しましょう。その後、金融機関と税務署の審査を受けます。
審査において、確認される点は以下の通りです。
- 現在満20歳以上の国内移住者か
- 本人確認書類とマイナンバーカードの内容は一致しているのか
審査完了までには、2週間から1ヶ月ほどかかります。審査に通った際には、金融機関からメールや郵送で口座開設通知が届きますので、見逃さないようにしましょう。
積立投資する投資対象を選ぶ
口座開設が完了したら、投資する銘柄を選びます。選択する銘柄は、安定さに定評ある、以下2つの投資信託がおすすめです。
- SBI・V・S&P500インデックス・ファンド
- eMAXIS Slim 全世界株式 (オール・カントリー)
SBI・V・S&P500インデックス・ファンドは、低コストで米国株式に投資できる人気が高い投資信託です。この投資信託を購入すると、アメリカの主要企業500社へ投資しているものと同じ効果が期待できます。
なぜなら、SBI・V・S&P500インデックス・ファンドが米国の上場している会社の株式と連携しているためです。また、手数料も安く、0.0938%(2022年12月15日時点)です。手数料がほとんどかからないため、利益を最大化する点で、資産運用の観点からも期待できるでしょう。
eMAXIS Slim 全世界株式 (オール・カントリー)は、国内や海外先進国、新興国すべての株式に投資できる投資信託です。世界の150カ国に幅広く分散投資できます。上記で解説した米国株式よりも、ほかの国に分散した投資商品であるため、安定性が高いといえるでしょう。
投資金額を選ぶ
最後に、つみたて NISA の投資金額を選びましょう。つみたてNISAの月額最大上限金額は、33,333円です。まずは「最悪ゼロになっても仕方ない」と思える金額から始めてみてください。
つみたて NISA を理解して将来のお金に備える
積立 NISA とは積立投資する際に、国が用意している非課税制度です。
年間最大40万円まで積立投資ができ、開始してから20年間非課税になるメリットがあります。元本割れするリスクがありますが、長期の分散投資であるため、安定した資産運用をしたい方に適している制度です。
始め方として、本人確認書類やマイナンバーカードの提出をしましょう。そして、全世界株式や米国株式などの銘柄を選び、安定した投資をすることがおすすめです。
今回紹介したつみたて NISA の概要や始め方を理解して、着実な資産運用につなげていきましょう。
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